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ぽぜおくんの憑依日記

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三丁目のヤらせ屋さん

最初にその噂を耳にしたのは、確か半年ほど前のことだった。
普段は口数の少ない同僚がやたらと興奮気味に話すものだから、ちょっと引いてしまったのを覚えている。
その内容はと言えばこれまた荒唐無稽なもので、なんでも◯×町三丁目の廃ビル裏に夜な夜な痴女が現れ、頼めば誰でも一発ヤラせてくれるという話だった。
中心街からこそ外れているものの、あの辺りはそれなりに人通りのある通りに面しているはずだ。そんなところで堂々と淫行を働く奴がいるだろうか。
馬鹿馬鹿しいと思い、その時は特に気に留めることも無く話半分に聞き流していた。
ところが今し方、久々に会った友人と二人で飲んでいたところ、そいつがまた似たような話を嬉しそうに始めたのだった。

「……そんでよ、お前あの話知ってるか? ◯×町に痴女が出るってヤツ」
「ん、ああ……頼めばヤラせてくれるって言うんだろ? もういいよ、それは」

こいつまでどこぞの中学生の妄想のような話に流されてるのか。うんざりしながらグラスを煽る。

「なんだよつれねえなぁ。だってお前あれだよ、制服姿のJKと出来るんだよ? JKだよ、JK」
「声がでかいって。大体俺が聞いた話じゃその痴女ってのは30だかそこらのグラマー美女とかなんとか、そう言ってたぞ」
「グラマーって古いな、お前……」
「うるせえ」

思いもよらないところで突っ込みを貰い、元々この話題にそこまで乗っていたわけでもないのに、妙に冷水を浴びせられた気分になる。
それにしても30前後の女性と女子高生とは、話には尾ひれが付くのが相場というものだが、少々極端過ぎるようにも思えた。
話し手の嗜好が反映されながら伝聞されてきた、ということだろうか。下卑た伝言ゲームもあるものだ。

「まあなんでもいいけどよ、俺だってここらでパッと一花咲かせたいわけよ。行ってみようかな、三丁目」
「やめとけよ。仮にその噂が本当だったとして、女子高生とヤッたりなんかしたら捕まるぞ、お前」
「グラマーの美女かもしれないじゃん。グラマーの」
「そこを引っ張るのはやめろ」

こいつと話していても埒が明かないと感じた俺は、適当に会話を切り上げて会計を済ませた。
駅前で別れるまで同じ話題を飽きもせず繰り返していた友人を尻目に、俺は電車に乗り込んだ。
それにしても……

「頼めば一発ヤラせてくれる、ねぇ……」

真に受けこそしなかったものの、実のところ全く興味が無かったというわけでもない。
自分で言うのもなんだが、俺は女性というものに全く縁がない。
学生時代は柔道一筋、今の会社に入ってからは仕事一筋で生きてきた。
ふと車窓に目をやると、そこにはガタイが良いという一言では収まり切らない程の、坊主頭の筋肉ダルマの姿があった。
我ながらどうかと思うことは多々有るのだが、歳を重ねても徐々に筋肉が脂肪に置き換わるばかりで、一向に萎む気配がない。
なんとも言えない気分でしばらく電車に揺られていると、そろそろ降りる駅が近づいていることに気が付いた。
定期入れをどこのポケットに入れたのかを探している内に電車のドアが開き、車掌のアナウンスが◯×町に着いたことを告げた。

「三丁目ね……」

奇しくも、と言うべきか。その三丁目はちょうど駅から自宅までの間にあった。
普段使っている道からは少し外れるが、遠回りという程でもない距離だ。
まさかとは思いつつも、いつもは右に曲がる交差点に差し掛かった俺は、真っ直ぐに歩を進めた。
そのまま10分近く歩いた頃、いかにもみすぼらしいビルが視界に入ってきた。
こうして町中に有るのが不思議な程寂れたビルだ。ところどころ窓ガラスにヒビが入っているのが見える。
脇に目をやると、いかにもといった雰囲気の隙間が顔を覗かせていた。俺は思わず周囲をちらりと見渡した。ちょうど誰もいないようだ。

「何やってんだ、俺は」

そう言いながらもう一度周囲に注意を払い、その裏路地へと足を踏み入れた。
何故だか、初めてアダルトコーナーの暖簾をくぐった時のことが思い出された。
街頭の光が徐々に遠ざかって行く。日が暮れているせいもあるのだろうが、想像以上に薄暗い。
曲がり角に難儀しながら壁伝いにゆっくりと進んで行くも、埃にまみれた壁と地面があるばかりで、とても人がいそうな気配はない。

「ほんと、何やってんだかな」

そう言って踵を返そうとした時、ふとおかしなことに気が付いた。裏路地の奥がぼんやりと明るいのだ。街頭にしては位置が低すぎる。
不良がたむろでもしているのだろうか。そう思いつつも、自分の足が前へ前へと進んでいくのを抑えられなかった。
光がだんだんと近づいてくるにつれ、その姿が明らかになる。あれは……投光機?
キャンプ等でよく見かける、地面に置いて使うタイプのようだった。
そしてその傍らに、誰かが腰掛けているのが見えた。

「あーあー、こんなに出してくれちゃって。どうしてくれるんスかねー、これ」

女性の声だった。他には誰の姿も見えない。独り言か? いや、そんなことより……

「うわ、ゴポゴポいってる。マジッスか……」

全裸だった。その女性は、下着の一つも身に着けていなかったのだ。
埃塗れの地面に敷かれたブルーシートの上に、生まれたままの姿で身体を投げ出している。
自分の見ているものが信じられず唖然と眺めていると、向こうも気が付いたみたいで、首だけを僅かにこちらへ向けた。

「ん……? あっ、お客さんッスか」

彼女はそう言うと、片腕を付いてゆっくりと起き上がった。
そのままこちらへ向けられた彼女の顔を見た俺は、こんな状況にも関わらず、美人だ、という感想を率直に抱いた。
年齢は20台半ば、といったところだろうか。少なくとも女子高生説は間違いだったというわけだ。
おっとりとした雰囲気の顔立ちと、スタイル抜群の肢体。おまけに素っ裸なものだから、どうしても目線が下に向いてしまう。
流れで思わず股間に目をやると、あろうことか白濁した液が茂みの内から漏れ出ているのが見えた。

「どうもどうも、いらっしゃい。どうッスか。中々良い身体っしょ?」

自分で言うのかと思ったが、確かに良い身体付きをしていた。
街中で歩けば間違いなく周囲の視線を独り占めにすることだろう。
そんなことを考えながら彼女の身体を眺めていると、

「ちょっとちょっとー、見過ぎッスよーお客さん。さっきのお客さんみたいなのは勘弁なんスからねー」
「さ、さっきの……?」

不意に咎められ、自分でも情けなくなるような声が漏れた。

「いやー、いかにもエロジジイ!って感じのお客さんにそりゃもう激しくですねー。ホラここ、血が出てる」

そういって彼女は躊躇いもなく尻を突き出すと、肛門の辺りを指差した。
確かに、穴から何筋かの血が垂れた後があった。そっちのプレイでもしていたということか。
しかしこの女、こうも恥じらいが無いと、最早痴女の一言では済まされない気もする。

「勘弁ッスよ、勘弁。こっちの穴は痛いだけみたいなんスよねー。大体そういう趣味は無いんスよ、ボク」

確かにボクと聞こえた。余りの状況に頭が付いてきていなかったが、改めて考えると一人称以前にその口調はなんだ。
柔らかそうな彼女の声が紡ぐには、余りにも不一致が過ぎる。そうでなくとも、少なくとも成人した女性らしい言葉遣いではない。
それに出血するほどまでに自分の肛門を使われたというのに、やたらと他人行儀な印象を受けた。突っ込みどころが多過ぎる。
彼女は黒のロングヘアーをかき上げながら、ふぅとため息をつくと、言葉を続けた。

「まあこっちも商売ッスから、なるべくならお客さんの要望には答えるッスけどねー。まあそれはさておき……」

髪を背中に追いやると素足のままこちらに向かって歩いてきた彼女に、思わずたじろいでしまう。

「今日はどんなプレイをお好みで? 大体なんでもOKッスけど、お値段は一律でこれッスよ」

彼女はそう言うと、右手の指をビシっと3本立てた。

「えっ、金……金取るのか」
「はぁ!? 当たり前っしょー、何言ってんスかお客さん! こちとら慈善事業じゃないんスよ!」
「あ、ああいや……頼めば誰でも……」

一発やらせてくれると聞いたと続けようとして、止めた。ここまで情けない台詞が他に有るだろうか。
しかし、彼女はこちらの心積もりを敏感に察知したらしく、ぷりぷりと口を尖らせながら、

「タダでヤラせてくれるって?? ちょっと、誰スかそんないい加減なこと言ったのは」
「いや、本当に噂で少し聞いただけで……」
「……まあ、こっちとしても口コミして頂けるのは有り難いッスけどね。でもタダはないっしょー」
「す、すまん……」
「あー、お客さんが謝ることじゃないッスよ。悪気はなかったみたいだし。」

彼女はそう言うと、熱くなりすぎたと言わんばかりに少し頭を下げた。
それと同時に背中に回した黒髪がはらりと前に垂れてきて、彼女の胸を隠した。
その仕草を目にして、情欲を覚えるよりも先に、目の前にいる人間が全裸の女性だという事実をいつの間にか失念していた自分に何より驚いた。
どうも彼女と話していると、まるでそこらのバイト青年とでも接しているかのような錯覚に陥る。
口調のせいも有るのだろうが、何故だか直感的にそういった印象を彼女からは受けるのだった。

「それじゃ、気を取り直して」

再びぐいっと尻をこちらに向けて突き出す彼女。触れば届きそうな距離で、埃を被った二つ山が誘うように動いている。
ごくり、と唾を飲んだ。いや、しかし……

「こっちはいつでもOKなんで、お好きにどうぞー。あ、ケツの穴は臨時で割高料金ッスよ?」

肩越しにこちらを見やりながら、彼女は白い歯を見せながらニカッと笑った。
これまた彼女に似つかわしくない仕草だが、それにしても笑えないジョークだ。

「どうしたんスかー。やるなら早くして欲しいんスけどー。ゴムならそこにあるんでどーぞご自由に」

そこ、と彼女が指差した先を見ると、彼女のものらしい衣服が無造作に脱ぎ散らかされていた。
紺色のスーツに、スカート、ストッキング、ブラジャー、パンティ、それにビジネスバッグ。まさか会社帰りと言うわけではないだろうが……。
それらの上には、確かに「極薄!!」と書かれた箱が置かれていた。すぐ隣には所謂大人のおもちゃが揃い踏みだ。

「…………」
「サービスなんでどんどん使ってもらって良いッスよー。何にしてもちょっと急いで貰わないと、後ろもつかえてるんでー」

しれっととんでもないことを言われた気がして、慌てて振り向くと確かに暗がりの中に佇む影が少なくとも二つほど見えた。冗談じゃない。
いつからあそこにいたのかも定かではないが、ともかくこの状況は不味い。
通行人に見咎められることを恐れるばかりで、自分と同じ目的でこの路地裏に集う「客」の存在に考えが至らなかった己の愚かさを呪った。

「ちょっとー? お客さーん?」

催促の声は徐々にその語気を強めている。後門の狼とはこのことか。この場合はどちらが前なのだろう。
そんなどうでもいい思考が頭をよぎる。

「お客さーん!」

どうしようもない。少しの逡巡の後、俺はようやく口を開いた。

「……ないんだ、金」
「へっ??」
「いや、本当に申し訳ないんだが、今財布の中に3万も……」

嘘ではなかった。元々ここには半信半疑ながら足を運んだわけで、金に限らず何かしらの準備をするという発想自体が無かったのだ。一昨日から髭も剃っていない有様だ。
ちらりと彼女の表情を伺うと、それはもう不機嫌そうな顔をしながら「はぁ~……」と溜息をついているところだった。
何か悪いことをしたかのような気分になったが、こちらとしても待機列を尻目に事に及ぶのは御免被りたい。

「言っときますけど、びた一文まからないッスからね」

落胆とも憐憫ともつかないような表情で、彼女は言った。

「あ、ああ……」
「お客さんを冷やかし扱いするのもあれッスけど……」
「いや、もう、本当にその……すまない」

俺はそれだけ言うと、いたたまれなさを振り払うかの如く、足元に置いていた鞄をそそくさと拾い上げた。

「次はちゃんと持つもの持ってきて下さいねー」とあしらった彼女は、「お待ちのお客さんどーぞー」と続けた。

逃げるように立ち去る最中、狭い路地裏で次の順番を待つ男とすれ違う羽目になったが、当の男はまるでこちらを意に介する様子もなく、緩慢な動きで奥へと向かっていった。
引き返して初めて分かったことだが、その実並んでいたのは最初に見えた二人だけだったようだ。残りの一人も腕を組んだままただじっと立っている。
既に何十人も並んでいるのではないかという強迫観念に近い不安に囚われていたが、杞憂だったようだ。いや、何人だろうがギャラリーがいるような状況自体が問題なのだが。
通りに戻り出たのとほぼ同時に、路地裏の奥から甲高い嬌声が微かに聞こえてきた。
ごくり、と唾を飲んだ。今頃はあの男の一物が、彼女の穴に遠慮無くぶち込まれているのだろう。ひょっとしたら割高の方かもしれない。
俺はしばらくその場から離れられずにいたが、遠くに通行人の影が現れたのを見て、また逃げるようにその場を後にした。



それから数日の間、俺はともすればあの路地裏での出来事のことばかり思い返していた。
振り返ってみても、あれが果たして現実だったのかどうかすら定かではないと感じるほどに、突飛な出来事であったように思う。
噂話を振ってきた同僚と友人とは、あれ以来話していない。
興味の無さそうな素振りを見せていた俺が、なんだかんだ言いながら結局三丁目に足を運んだとあれば何を言われるか分かったものではない、
というのも勿論あったが、それ以上に、あの出来事はそう軽々しく他人に話すべきではないことのように思えたのだ。
路地裏とはいえ、あそこまで堂々と……。そんな話が有り得るのか? 俺の中でその噂話は、既に単なる噂話ではなくなっていた。
そんな調子で俺はしばらく悶々とした日々を過ごし、仕事も殆ど手に付かない有様であった。

「次は、か……」

仕事場でデスクに向かいながら、俺はふと呟いた。
去り際に彼女はそう言ったのだ。単なる営業トークではあったのだろうが、その些細な一言は今の俺を突き動かすには十分だった。
俺はろくに進んでいない作業を切り上げ、早退の届出を済ませた。
普段は実直に業務をこなす俺の様子がここ数日おかしかったことは上司も気に掛けていたようで、仮病の申請はあっさり快諾して貰えた。
足早に仕事場を後にした俺は、近くに停車していたタクシーを捕まえ、◯×町三丁目とだけ運転手に伝えた。
多少距離はあるが、今俺の懐には少なくともタクシー代などは問題にならない額の札ビラが控えている。
腕時計を見ると、ちょうど午後2時を回ったところだった。

「流石に早すぎたかな」
「ん、どうかしましたか?」
「ああいえ、なんでも……」

思わず漏れた独り言を初老の運転手に拾われてしまい、誤魔化すように窓に目をやると、件の廃ビルが遠目に見えた。
「この辺りで」と運転手に伝え精算を済ませた俺は、廃ビルを目印に住宅街の合間を縫って歩いた。
目の前で降ろして貰っても良かったのだが、やはりどことなく後ろめたい気持ちがあったのかもしれない。
そうしてしばらく進んだ後、俺は再び路地裏の前に辿り着いた。
昼と夜では随分と印象が違うものだ。建屋の影にこそ隠れているものの、今は入り口から途中の曲がり角が見えるほどには視界があった。
俺は以前より慎重に周囲を見渡し、誰もいないことを確認すると、路地裏へと入っていった。
とはいえ、これだけ早いと流石に彼女もまだ来ていないかもしれない。だが、それでもいいのだ。待ち列を作る可能性は少しでも低い方がいい。
最悪、彼女は今日ここに来ないということも考えられたが、それなら何度でも足を運ぶつもりだった。

「この辺りだったよな。よし、誰もいない……」

ふと、壁際に何やらごちゃごちゃ詰め込まれている厚手のビニール袋が転がっていることに気が付いた。
半透明のビニール越しに、投光機やブルーシート、それに大人のおもちゃの姿が見て取れる。
少なくとも、彼女がここを拠点としているのは間違いないようだった。後はただ待つだけだ。
そう思って一息付こうとした矢先、後方から微かに誰かの足音が聞こえたような気がした。
始めは気のせいかとも思ったが、規則的に地面を踏みしめるその音は、確実にこちらに向かって近づいてきているようだった。
反射的に、身を隠すところがあるわけでもないのに、思わず壁際に寄ってしまう。
ただの通行人がここまで入り込んでくるとは考え難い。俺と同じく昼間から張り込むつもりの輩か、それとも彼女か。
壁に寄りかかりながら、足音のする方に不安と期待を入り混じらせた視線を向けた俺は、思わず目を疑った。足音の主は、そのどちらでもなかった。
そこには、恐らく何かのユニフォームであろう運動着に身を包んだ少女の姿があった。背格好からして高校生ぐらいであろうか。

「あれっ、この前の」

先に口を開いたのは「彼女」の方だった。肩に掛けていたスポーツバッグを地面に降ろしながら、キョトンとした表情でこちらを見ている。
何が何だか分からなかった。近道をしようとここに立ち入った部外者に鉢合わせてしまったのかと一瞬思ったが、今彼女は何と言った?
勿論、彼女に見覚えなどない。そんなこちらの動揺を知ってか知らずか、彼女は続けた。

「ほんとに来てくれたんスねー。今日はこっちの方、大丈夫ッスか?」

指を3本立てながら、彼女はいたずらっぽく笑った。
これはどうしたことだ。あの時この場にいたのは待ち列の男達を除けば、俺ともう一人、あの黒髪の女性だけだったはずだ。
担がれているのか、とさえ思った。もしかしたらどこかから様子を伺われていたのかもしれない。
この路地裏で行われている淫らな商売は複数人で持ち回されているとでもいうのか。バイトのシフトでもあるまいし、それこそ馬鹿げた話だ。

「あ、ああ。金なら、ある」とりあえず質問には答えておく。「3万だったか、問題ない、と思う」
「OKッス! それじゃちょっと準備の方しますんで、少々お待ちをー」

てくてくと傍らにあるビニール袋に近づいて来た彼女は、おもむろにその縛り口を解くと、手慣れた手付きで投光機をセットし始めた。
俺はその様子をただ眺める他なかった。この前の女性とは別人なのは間違いない、と思う。
共通しているのは、どちらも抜群のルックスを備えているということぐらいだろうか。こんな年下の少女に惹かれる趣味など持ち合わせていないつもりだったのに、そう感じた。
鼻歌を歌いながら中腰で荷物を漁る彼女は、運動着の上からでもはっきり分かるほどにスタイルが引き締まっていた。スポーツをしているからだろうか。
色を少し抜いているらしい髪を所謂ポニーテールの形で纏めているのも、運動中に邪魔にならないための配慮なのかもしれない。顔立ちも含め、いかにも快活そうな印象を受けた。
そんな彼女が、今目の前で真剣な表情をしながら電動ディルドの動作を確認している。にわかには信じ難い光景だ。しかし、それにしても……

「ん、問題なさそうッスね! スンマセン、お待たせしちゃって。こんな時間にお客さんがいらっしゃることなんて、中々無いもんッスから」

相変わらずの口調だ、と思った。以前の女性よりは、この少女が言う分の方が幾らか見合っている気もするが。
そこでふと、相変わらずという発想を違和感無く抱いてしまっている自分に気が付いた。どう見ても別人のはずだというのに。
ここにいると、頭が付いて行かないことばかり起こる。俺は間を繋ぐかのように、とりとめのない質問を飛ばしてみた。

「その服は……何かのユニフォーム、なのか?」
「これッスかっ?」彼女はよくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに、ふふんと鼻を鳴らした。「へへ、こういうのも悪くないかなーと思ったんスよねー」

答えになっていないが、そういう需要を意識した上での格好だということは伝わってきた。
オレンジと白で彩られた明るいデザインのその運動着は、確かに彼女に良く似合っている。
上着の裾を両手でびよんと引っ張りながら、白い歯を見せてニカッと笑う彼女。この仕草も「相変わらず」だ。

「いやー、大変だったんスよ? 電車の中で目立つのなんのって」
「電車……その格好でここまで来たのか? どこかで着替えたものだとばかり……」
「それならここで着替えるッスよー。今日は中々良い娘が見つからなかったんで、隣町くんだりまで出掛けて来たんスけど」

頭の付いて行かない事柄がまた増えた。以前にも増して会話が噛み合わない。
よく見ると、その運動着には確かに隣の市にある高校の名前がローマ字であしらわれていた。

「そんでこれ、バスケのユニフォームみたいなんスよね。平日の昼間っから大勢集まってたんで、何かの大会だったんスかね?」

ようやく質問の答えが返ってきたが、言われてみれば今日は平日で、まだ部活動が始まるような時間帯でもない。
というより、話が噛み合わないのはともかくとして、この少女は大会の会場から抜け出て直にここまで来たというのか。
足元に目をやると、見慣れない形状の運動靴が見えた。バスケットシューズというやつだろうか。靴すら履き替えずに飛び出してきたらしい。

「さてさて、それじゃお客さんっ」お話はこれぐらいにして、と言わんばかりに彼女は手を叩いた。「今日はどんなプレイをお好みで?」
「あ、ああ。ええと……」

やるつもりなのか。こんな少女が、本当に。彼女はしげしげとこちらを伺いながら、答えを待っている。
正直腹を決めかねていたのだが、自分が何をしにここに来たのかを思い返し、深く考えるのは止めにした。

「そうだな、それじゃあ……」



くちゅ、くちゅと路地裏に淫靡な音が鳴り響いていた。
ブルーシートの上に寝転がった俺の上で、運動着姿の女子高生がぐりぐりと腰をくねらせている。

「はぁっ……あっ……お客さんも……好きッスねぇっ……」彼女は息を切らせながら呟いた。「こんな女の子に……んっ……跨がらせて……ふあっ」

俺が騎乗位を希望する旨を伝えるや、彼女はあれよという間に短パンを下着ごと脱ぎ捨て、前戯も無しに俺の上に跨って来たのだった。
なんでも、身体の方は電車の中で既に仕上げてきたらしい。目立って仕方が無かったというのは、果たして運動着姿だけが原因だったのか、疑わしいところだ。
俺から見ると、結合部の様子は彼女の上着に隠れて殆ど確認できないのだが、彼女曰く「逆に萌えるっしょ?」とのことで、脱ぐつもりは無いようだった。

「んんっ……お客さんの、奥まで届いて……最高ッスよ……あんっ」

腰を振る動きに併せて、彼女の豊満な胸が運動着の中で揺れ動き、ポニーテールが肩越しに跳ねているのが見て取れた。確かに、これはこれで興奮する気もする。
彼女は少しペースを控えめにすると、ちょっと前屈みになりながら呟いた。

「あっ……お、お客さん……申し訳ないんスけど、ボクももうちょっと我慢出来なくて……」

そう言うと、先程の拘りはどこへやら、両脇に垂らしていた腕を運動着の裾にがばっと突っ込み、自ら胸を揉みしだき始めた。

「んふっ……ああっ……たまらんッス……」

同時に隠されていた結合部が露わになるが、俺の視線はそれよりも上方に釘付けになっていた。
客を半分放ったらかしにして自ら楽しみ始めた彼女は、頬を紅く染めながら恍惚とした表情を浮かべていた。
運動着の中では両手の指が激しく動いているらしく、オレンジの生地がモゴモゴといやらしくその形を変えている。
その様子と、彼女が発する可愛らしい喘ぎ声を耳にしているだけで、腰の動きが緩やかになってしまったことに対して十分にお釣りが来るほどだった。

「ああっ……これ……あっ……」そこで彼女ははたと気が付いた様子で動きを止めた。「あ、ああ……んっ……ボクだけ楽しんでちゃ駄目ッスよねっ……」

こちらとしても視覚的に楽しませては貰っていたのだが、妙なプロ意識らしいものを見せた彼女は再び裾から腕を出し、俺の胸板の上に突いた。
先程まで胸と運動着の間に包まれていたその両手からは、ほんのりとした温もりが伝わってきた。
彼女はその腕に少し力を込めると、腰をちょっと浮かせた。ぬるっとした感触と共に、快感の波が襲いかかる。
それは彼女も同様のようで、「んっ……」と艶めかしい吐息を漏らすと、持ち上げたままの腰をびくりと震わせた。

「はー……はー……それじゃ……ラストスパート、行くッスよ……」

そのまま真っ直ぐに下ろされる彼女の腰。柔らかな尻が俺の太腿に着地すると同時に、一物の先端が彼女の奥を突いたのがはっきりと分かった。
再び腰が持ち上がり、まるで全身が吸い上げられるかのような快感が訪れる。そのサイクルは数を数える毎に激しさを増していった。

「あっ……あっ……はぁぁっ……あっ……」

完全に弛緩しきった表情の彼女。そろそろ限界が近いようだ。俺の方もそう長くは持ちそうにない。
このまま中に出していいものなのかどうか少し気が咎めたが、答えは分かりきっていたので敢えて聞かないことにした。
そう思った矢先、彼女の身体がグッと強張り、締め付けられる力が急速に増した。

「あっ……はっ……はあぁんっ!」

これまでに感じたことの無い程の快感が最期の時が訪れたことを告げ、お互いの腰がビクンと跳ねた。
一際大きく喘いだ声に答え、彼女の中に大量の熱い液が注がれていく。

「ぁ……あ……ふぅ……」

肩で息をしながら呼吸を整えている彼女。俺の方も頭に靄の掛かったような感覚が晴れず、ただ時間が快感を希釈してくれるのを待つだけだった。
しばらくすると彼女は我を取り戻したようで、もう一度腰を持ち上げ、穴から俺の一物を抜いた。

「んっ……はぁ……」

彼女はそのまま覆いかぶさるように俺の身体に寄りかかると、上気した頬を胸板の辺りにあてた。
彼女の頭がすぐ目の前まで迫っている。汗の匂いに混じり、シャンプーの甘い香りが鼻をくすぐった。

「あー……お客さんの、ホント最高でしたよ……」
「ああ、俺も……」

言いかけたところで、彼女の肩が微妙に震えていることに気が付いた。
始めはまだ快感が抜け切らないのかと思っていたがどうも様子がおかしい。

「……ひぐっ……ぐす……」

まさか、泣いているのか。俺は思わず狼狽した。
彼女がちらりと顔をこちらに向けると、その目は涙に潤んでいた。
はっとした表情で身体を起こした彼女は、ずずっと鼻を啜り、少し慌てた様子で手を振った。

「あっ……ああいや、スンマセン……ぐすっ……こういうの、たまに有るんスよ」

唖然とする俺を前に、彼女はまた鼻を啜った。
ふらついた足で立ち上がった彼女は、ポリポリと頭を掻きながら弁解するかのように言葉を続けた。

「意識は完全に眠らせてあるんスけど……ずびっ……お客さんとヤるのがよっぽど嫌だったんでしょう……」そこまで言うと、彼女は更に慌てた様子で、
「あ、いえ、別にそういう意味じゃ……」

と言いながら、今度は完全に弁解に走った。
じゃあどういう意味なんだ、と普段なら食って掛かるところだが、この時ばかりは状況が違った。
手鼻を噛んでいる彼女を横目に、俺の頭の中では幾多もの思考が駆け巡っていた。

「ずずっ……ボクもまだ未熟者ってことッスかね……ホント申し訳ないッス」

何に対しての未熟なのか。図らずも客に対して失礼な口を聞いてしまったことに対してか。
違う。彼女はそんなつまらないことについて言及しているのではない。

「なんかヤッてる時もボクばっかり盛り上がっちゃってましたし、お詫びでもないですけど今回のお代は結構ッスよ」

思いもかけない提案が彼女の方から申し出された為、俺は現実に引き戻された。
しかし俺は、少し考えてから首を振った。確かに安い金額ではないし、有り難い話ではあるのだが。
彼女はそれでは自分の気が済まないと、それなら8割引き、半額、3割引き、と順々に提案してきたのだが、全て断った。
始めこそ真剣な気持ちで断っていたのだが、わたわたしながらやたらと必死になっている彼女の姿を見る内に何だかおかしくなってきて、思わず吹き出してしまった。

「な、なにがおかしいんスか……」
「いや、なんでもない。それより代金はしっかり払わせてもらうよ。そこはこっちも譲れない」
「むう……お客さんがそうまで言うのなら、受け取らせて頂くッスけど……」

ようやく涙が収まったらしい彼女は未だ納得しきらない様子だったが、その後はいつもの調子で、

「でも一体どうして……ひょっとしてお客さんあれッスか、泣かれた方が萌えるとかそういう趣味あるんスか? ドSッスねー」

等と軽口を叩き、ニカッと笑うのだった。
頬に涙の後を残したまま、一方で屈託のない笑顔を見せる彼女を見て、俺は確信した。
これまで見聞きした事柄全てが、一つの答えを指し示していた。
それは何度か頭に浮かんではいたのものの、在り得ないことだと無意識の内に切り捨てられてしまっていた、全くもって馬鹿げた結論だった。
だが、間違いない。彼女は、いや、彼は……



それからというもの、俺はこれまで以上に仕事に手を付けられないでいた。
あの日思うがままに吐き出してきたはずの欲望は、時を待たずして再び俺の中で際限なく膨らみ始めていた。
まるで出社する気になれず、起きがけに会社へ欠勤の連絡を入れて、正午になるまで布団の中でただごろごろと過ごしていた。今月に入ってから既に4度目のことだった。
寝床の傍らには、淡い水色をした女物のパンティがあった。せめてものお詫びにと、あの後彼女が持たせてくれたものだ。
これを使って、何度か自慰行為に勤しんだものだったが、それでも俺の中の欲望は晴れることは無かった。

「……駄目なんだ、これじゃ」

思い立ったように布団を払いのけ、気付けば三丁目へと向かって駆け出していた。
おかしいことをしているのは分かっている。しかし、一度火を点けられた自分の中の本能を宥める術を、俺は他に持たなかったのだ。
自分でも驚く程の早さで廃ビル前に着いた俺は、駆け込むように路地裏へと向かった。
誰もいない。今日も一番乗りだ。息を切らせて奥へと進む。そこには彼が待ってくれているはずだ。
暗がりの最中に人影が見えた。髪を二つ結びにした若妻風の女性だった。前掛けのエプロンの他には、何も身に着けていないようだ。
そんな格好を見られた事を気にする様子もなく、彼女は俺の姿を確かめると、白い歯を見せてニカッと笑って言うのだった。

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コメント

ヤらせ屋が身体を完全に他人事として扱ってるのが良いですね~。
傍から見た憑依者がよく描けてますわあ。

Re: タイトルなし

>nekomeさん
うおお、ありがとうございます!!
しれっとした感じで身体を弄ぶマンをなんとかして描きたいと思っていたのでそう言って頂けると本望ですねー。モチベもモリモリ上がってきました

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ぽぜおくん

Author:ぽぜおくん
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